西尾維新著『掟上今日子の設計図』

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掟上今日子の忘備録、掟上今日子の推薦文掟上今日子の挑戦状掟上今日子の遺言書掟上今日子の婚姻届、掟上今日子の家計簿、掟上今日子の旅行記掟上今日子の裏表紙、掟上今日子の色見本、掟上今日子の乗車券、そして掟上今日子の設計図。以上12作が出版済。次が掟上今日子の五線譜、掟上今日子伝言板となるそうです。

ライトノベルの範疇の作品である。西尾維新(nishioishin」さんの筆の軽やかさが気持ち良いのでもう12冊も読んでしまった。

忘却探偵掟上今日子さんは、寝ると全てを忘れるという前提で話が進んでいる。忘却探偵ってどこまで忘れているのか想定が難しい。子供の頃は忘却しなかったようなので、自分の名前を体に書いて起きた時に見て確認するのはどうしてかな。あちこちに謎を秘めていて細かいことを疎かに読めない。どうだったっけとなる。しかしながらその想定外の展開に驚きが満ち溢れている。ここが最大の魅力だと思う。底抜けな奇想天外さに日常を忘れさせてくれる。そんなバカなである。また哀れな冤罪体質の隠館厄介の謙虚な姿勢に、なんか救われる。

人のわずがな善意(席を譲る)に、犯人は最後に爆発物を仕掛けるのを止めたなんて、世の中をちょっと良くしたいって気持ちが作者には強いのかなあと思う。

一方(ネタバレ)眼が見えない障害者が犯人なんていう設定もこだわりのなさを感じる。

次作が楽しみです。