バルザック人間喜劇より『従妹ベット』

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熱烈なバルザックファンである。その壮大な作品群はほぼ総称して人間喜劇なのだ。

コーヒーやご馳走の食べ過ぎで糖尿病で失明し腹膜炎で51歳亡くなったバルザック

ハンカス伯爵夫人と13年の交際の末結婚したのは版年だった。1日12時間から18時間書き続けた結果膨大な作品群が誕生した。

19世記のフランス文学の写実主義を体現している。

それは遺産相続によって労せずして得ることの出来る金銭。ヨーロッパの文明は相続の上に立脚して人生の転換が出来る。死や金銭や欲望を書かせれば世界一。

 

この『従妹ベット』は金銭欲と愛慾と復讐の物語です。(適当なあらすじ)

1830年代妻アドリーヌと2人の子供を持つユロ男爵が美しい金のかかる女に貢ぎ没落するお話。妻には40歳を過ぎた独身の従妹ベットがいた。スタインボックを世話することが慰めだったが、ユロの娘に横取りされユロ家に復讐を誓う。人妻ヴァレリーと共謀しユロに貢がせさらにスタインボックも誘惑させる。

従妹ベットの臨終のベッドではユロ家の人々は涙を流すが、ヴァレリーを操ってユロ家に復習していたのだった。

ユロの息子で弁護士のヴィクトランが人妻ヴァレリーを追い詰める。

 

特にバルザックの小説で好きだったのは遺産相続でいくらの年金が入るか本当に細かく書いているところだ。身なりを決定するのはもらえる年金の金額による。そしてそれがその人の地位を表す。遺産相続によって人生が決定する。ヨーロッパの文明はこうした金銭の裏打ちにより成り立っている。物凄い細かい描写がされている通りを歩く人の身なりや生活を決定し、変転は遺産相続でしか起こらない。世界はどこが変わったのだろうか。

金銭への執着は今の時代も続いている。しかし一発逆転は可能な時代であることは大きな救いではある。