『日本史サイエンス』播田安弘著2020ブルーバックス
蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る
技術の進歩か、考古学や歴史学の分野にも及び、従来の歴史が大きく書き換えられる可能性が高まっているという。
以前はどうも歴史が苦手だったけれど、サイエンスが加わると俄然面白くなってきた。
船の製造現場からのエビデンスは、歴史学者も無視できないはずだ。
蒙古襲来は、日本人にとって初めての他国からの大規模な侵略だった。
竹崎季長の蒙古襲来絵詞。活躍する姿を描かせたもの。(先日の皇室の名宝展の写真)
ここでランチェスター第一法則と第二法則が出てくる。
高麗国王の死によって出撃が3ヶ月遅れたため玄界灘の荒れる海に勝てず撤退を余儀なくされた。北西風により遭難した。初めから蒙古軍は上陸に手間取った。日本武士団の集団騎馬突撃に進軍を妨げられた。日本刀は武器として強力、日本武士の魂日本刀。日本のものづくり精神のはじまり。
秀吉の大返し。
明智光秀が織田信長を討った本能寺の変な後、中国地方で毛利氏を攻めていた羽柴秀吉がすぐに京に戻れたのは何故か?
事前に周到な準備をした。
秀吉は本陣と別れ、海路を使った。
本当だろうか?
戦艦大和は無用の長物だったのか?
1945年4月7日午後2時23分鹿児島県の坊ノ岬沖で沈没。わずか3年4ヶ月の生涯だった。
太平洋戦争開戦当時GNPはアメリカの9%であった。そんなアメリカと何故戦ったのか?
日露戦争でロシアのバルチック艦隊に勝利したことが、対米決戦を決意させた。大和の建造予算は、現在の価格に換算すると3兆円。
真珠湾とマレー沖海戦において、日本の航空機と空母戦略が功を奏し、航空機が主力となる。
日本の重工業や機械工業の基礎づくり、このような巨大戦艦を作れる日本の力に自信を持ち、精神的にも、日本人を支える大きな柱となっ
た。
大和がおんぞんされているうちに、戦局が悪化し大和を護衛すべき空母と航空機かほとんどが失われた。
リアリティを感じながら歴史を知ることが大事。物量がわかると真実に近づく。
リアリティの欠如、目的のために最適化されていない手段。
日本刀から戦艦大和へと脈々も流れるものづくりの伝統がこの国の最大の武器である。
大和が2度沈まない手立ては何か?絶望的な差のついた日本の技術系の大学生の数。
ものづくりの世界の担い手がいない深刻な状況にある。
これから歴史の分野でもサイエンスにより次々と今までとは異なる真実が明らかになることを楽しみにしています。面白いエビデンスのある変更を期待します。