桂離宮『ひらがな日本美術史4』橋本治著

『ひらがな日本美術史4』の中から

桂離宮について(その69)

事前申し込みが必要で、しかも今は受け付ける人数も少なくかなりの難関となっている。

しかしこの本は、いきあたりばったりの章立てですね。流石橋本治さん。

桂離宮は、1933年に来日したドイツ人建築家ブルーノ・タウトによって絶賛され、岩波新書『日本美の再発見』という本が桂離宮神話を完成させた。

桂離宮とは「人間が美なる人為を生み出すとき、自然に対してどのような態度を取るべきか考えさせるもの」

桂離宮の庭は、回遊式庭園。松琴亭は桂離宮で最も格の高い茶室。賞花亭=峠の茶屋をイメージした茶室。笑意軒、月破楼。

襖(ふすま)の模様は、雲母刷り(きらずり)の桐の小紋。この辺りの絵の厚みは、実物を見ると違うのかな。

金と頭を使って作られた贅沢であるが、作ったという人為を消すための引き算である。

贅沢がバレないセンスの良さ。壁に描かれた水墨画も、狩野探幽山水画も装飾模様の一種となっている。

日本的なものとして江戸時代から確立されてしまった日本的なものは通俗的で、むやみに格調が高く権威主義的でマンネリズムステレオタイプである。徳川政権の基本は、完成された調和を維持し続けること。浪費はご法度であるが町人は浪費に走る。贅沢禁止令が出て支配階級が贅沢できない。江戸時代は町人文化の時代。

作るのことは必要悪であり作ることにおいて最も重要なことは作っていないという営みを明らかにする。つまり引き算で人為を消す。管理社会的な権威主義や体面重視の豪華さとはかけ離れたものである。何のことだ?

行ってその場で見るしかない。