『絵の教室』安野光雅著
2020年12月24日クリスマスイヴに亡くなった安野光雅さん。
子供向や穏やかな絵を書く人というイメージだったが、この本は想像とは違っていた。
NHKTV番組人間講座「絵とイマジネーション」(2004)のテキストから本書ができている。
この本の結論は、想像力、創造力が大切だ。イメージすることの大切さが書かれている。
自然界には人間が手で描くような線はありません。アウトラインなど自然に無い線を人間が描くときその線はものを識別し認識したことのあかしとなります。
描くことに近道も終点もない。
ミケランジェロ、ラファエロ、ダヴィンチなどに代表されるルネサンスの時代は、みたこともない世界をあたかもこの世のものであるかのように描いて見せてくれた。システィーナ礼拝堂の最後の審判は、先日読んだ若桑みどりさんの『イメージを読む』のなかに出てきた。解釈がとても斬新だった。
建築も絵も彫刻もみな宗教のためにあった。
美術史が社会の経済活動と関係があることは厳粛な事実です。
わたし(安野さん)の心のなかに大きい存在としてゴッホがいる。お前は、青ざめて冷たくなるまで目の前のものは何でも手当たり次第に描くのだ。赤い靴をはいて踊る、描かずにおれない情熱。売れなくても描き続けるのを見ると、哀れで、感動的。
なかなか子供にはかなわないが、大人になってからでも遅くない。映画や芝居を見たり、落語を聞いたり、本を読んで面白いと思っているのはイマジネーションの力。