『明日をひらく言葉』やなせたかし著

 

アンパンマンや、手のひらを太陽になどたくさんの作品で私たちを楽しませてくれるやなせたかしさんですが、子供向けかなと思っていた。

先日安野光雅さんの『絵の教室』を読んで深いところを学べたと思えたので、やなせたかしさんの本も読んでみた。

 

ぼくらはみんなそれぞれ違う思い出を持っている。そしてなるべくよい思い出を作りたいと思って人生を生きる。

 

劣等感は全くくだらない感情です。こんなもの捨てるに越したことはない。

 

みる前に跳べ

と言うのが僕の主義だ。

 

人生は椅子取りゲーム。満員電車に乗り込みあきらめて途中下車せず立ち続けていたらある時目の前の席が空いた。

 

何事も足元から一歩一歩と進むうちに必ずいい結果に向かっていくのです。

 

運は自分で拓くもの運は自分が呼び込むものつまり運は天が定めたものではなく自力で動かすものなのです。

 

お金持ちになれる正しい原則は良心的な面白い仕事をすることです。

 

人間が一番うれしいことはなんだろう。

長い間僕は考えてきた。そして結局人がうれしいのは人を喜ばせることだということが解りました。実に単純なことです。ひとはひとを喜ばせることが一番うれしい。

 

いつでもほんとうのことを書かなくてはいけないのです。そのほんとう

のことというのは眼に見えたそのままではなく真実よりなお真実というものです。それが精神的な部分に命中したときに私たちは感動するのです。

 

海に一滴の淡水を注ぐようなことでも百人いれば百滴になる。

 

その日その日を大事に一歩一歩積みあげていく。その平凡なことを何十年も続け些細やことを積み重ねるならば、いつの日か平凡は非凡な結果にかわるのです。

 

人生の後半を生き生きと過ごす秘訣は何でもいいから熱中できるものを持つこと。

たとえ十種の病気持ちでも運は天に任せてできる限りおしゃれもしてこの人生を楽しみたい。

 

言葉に力があると思う。

それが詩人ということなのだ。

『人新世の「資本論」』斎藤幸平著

驚愕した。

ここでは、マルクス資本論も過去のお話ではないのだ。

純粋培養された学問の世界ではこの本に書かれているようなことが真剣に考えられている。

プーチン習近平の手下になりたいのだろうか?あるいは第二第三の彼らのもとで生きたいのであろうか?

私の考えが資本主義に毒されしまっているのだろうか?

確かにたった26人の保有資産が貧困層38億人の保有資産も同じという片寄った富の分布になっているのは確かだ。

また、共産主義の方が物事を早く進めることができることも確かだ。

SDGsがうさんくさいはのも確かだ。SDGsは大衆のアヘンであるという強いメッセージ

かつてマルクスが言った宗教は大衆のアヘンであるからの言葉だ。

宗教が大衆のアヘンであり宝くじが貧者の税金であるというのは一度聞くと忘れない。

 脱成長コミュニズムって成長を否定しているのか?ファクトフルネスは読んだのだろうか?

中国やロシアについてどんな見解なのだろうか?

しかし若者が社会主義傾向が強いというのは民主党支持者が多いということだと思う。共産主義支持者ではないと思う。

 

共産主義ユートピアを信じる人がいることに本当に驚いた。

スッカリ資本主義に洗脳されているのだろう。

 

『清華大生がみた最先端社会中国のリアル』夏目英男著

著者は、古き中国へ2007年に両親の仕事ために移住した。清華大学へ入学する。

2008年の北京オリンピック起爆剤に中国は経済成長と国際社会への歩みをスタートした。

その後、財布を必要としない最先端のテクノロジーの国となった。

中国は現状を打破できるのは教育という考え方。

今後中国の表舞台に立つ「80後」「90後」といった中国の若者たちのリアルが紹介されている。1980年代に生まれた世代(バーリンボウ)1990年代に生まれた世代(ジウリンボウ)。

80後は波乱万丈。1977年中国版センター試験「高考」再開、1982年一人っ子政策

90後はオープンなマインドセットで歴史や伝統にとらわれずしっかり自分の考えをもって行動をしている若者が多い。

ハイグイ(海亀)と言われる海外帰国組が中国をリードしている。

中国の新時代を背負う若者で今まで日本人が思い描く中国人をは全く違い挑戦意欲が高く気骨精神あふれる人々である。

北京オリンピックの成功が清代に阿片でやせ細った中国人におイメージを完全に覆した。

清華大学のモットー

自らを向上させることを怠らず人徳を高く保ち物事を成し遂げる。

祖国のために50年、健康を保ち仕事をする。

 

現代日本の若者に欠けている志や中国人としての誇りを持っている。

アリババのジャック・マー氏は、人より努力せず時間をかけずに成功するのは不可能といった。

デジタル革命により劇的変化を最先端でリードするアリババとテンセントの進化について書かれている。

チャイナユースの価値観。

 

少年中国説

若者が賢ければ国も賢く、若者が裕福であれば国も裕福、若者が強ければ国も強く、若者が自立すれば国も自立し、若者が自由であれば国も自由、若者が進歩すれば国も進歩する。

 

現在の中国について、公平な情報が少ない気がする。

この本を読むと圧倒的に、若者の勉強不足かなと思うけれども、ニホンの若者のこともあまり知らない。残念だ。

 

 

 

 

『絵の教室』安野光雅著

2020年12月24日クリスマスイヴに亡くなった安野光雅さん。

子供向や穏やかな絵を書く人というイメージだったが、この本は想像とは違っていた。

NHKTV番組人間講座「絵とイマジネーション」(2004)のテキストから本書ができている。

この本の結論は、想像力、創造力が大切だ。イメージすることの大切さが書かれている。

 

自然界には人間が手で描くような線はありません。アウトラインなど自然に無い線を人間が描くときその線はものを識別し認識したことのあかしとなります。

描くことに近道も終点もない。

ミケランジェロラファエロ、ダヴィンチなどに代表されるルネサンスの時代は、みたこともない世界をあたかもこの世のものであるかのように描いて見せてくれた。システィーナ礼拝堂最後の審判は、先日読んだ若桑みどりさんの『イメージを読む』のなかに出てきた。解釈がとても斬新だった。

建築も絵も彫刻もみな宗教のためにあった。

美術史が社会の経済活動と関係があることは厳粛な事実です。

わたし(安野さん)の心のなかに大きい存在としてゴッホがいる。お前は、青ざめて冷たくなるまで目の前のものは何でも手当たり次第に描くのだ。赤い靴をはいて踊る、描かずにおれない情熱。売れなくても描き続けるのを見ると、哀れで、感動的。

なかなか子供にはかなわないが、大人になってからでも遅くない。映画や芝居を見たり、落語を聞いたり、本を読んで面白いと思っているのはイマジネーションの力。

 

『「考える力」トレーニング』白取春彦著

 

考えることをやめた瞬間本当の意味での自分の人生を手放すことになる。

 

語彙の豊かさ、組み合わせる材料を多く持っている。

考えることは自分自身が変わること。

新しい考えは新しい自分から生まれる。

怠慢な受け身ているかぎり自分が新しくなることはできない。

書くことが必要。

新しい考えを生めるかどうかは自分の言葉の量と質にのみ依存している。言葉だけで何事もなしうる可能性がある。

考えを適切な表現にまとめる。

般若心経「色即是空空即是色」

物質も精神もそれ自体では存在しない。それ自体で存在しないものが物質や精神と呼ばれるものである。

空の思想は、依存関係。

因縁は、原因と結果すらも単なる依存関係であり、全体として無であるから因果ということ自体も無である。

私たちは、人と話すのを億劫がってはならない。なあなあ主義を排することから私たちの実地的論理性は、養われていく。

怠惰な態度から、偏見が芽を出してくる。

読書は、様々な著者の本を読んで様々な見解にふれることだ。

考えるときは、大きめの紙に、要点を書きながら考える。

本を読むとアタマが良くなるは、本当です。

 

考えることをやめた瞬間本当の意味での自分の人生を手放すことになる。

そして、考えるために読書をし、人と話すことが大切。

『ブランディングファースト』宮村岳志著

新しい時代の経営の思考法。

ブランドは柱でありその柱を確立するための施策がブランディング

ここでは企業に関する話であるが、個人でも同じだと思う。

ブランディングは重要だと思う。

例としてシャンプーのボダニストが挙げられている。大阪の小さな会社「I-ne」。

飽和状態であろうシャンプー業界、花王資生堂やコーセーやカネボウやP&Gなど

並ぶシャンプー大手企業の間に割り込んで売れている。インテリアとしてもまわいを邪魔しないシンプルなパッケージで植物由来で地肌に優しい、買って見ようかなと思わせる。

今いる社会のはパラダイムシフト(革命的変化)している。

経営者や企業も持つ強い思いはブランドの芽である。これを企業の柱として育てるための施策がブランディング

十分に練り上げてからの発信では遅い。タイムイズライフ。お金以上に時間が大切だという認識になりつつある。トライアンドエラーでトライアルする必要がある。十分にあちらもこちらもも大丈夫な状態まで待っていれば先をこされてタイミングを逃してしまう。スピードが大切。

ブランディングは経営戦略。例えばブライダル業界では品質で勝負する時代の波が物凄いスピードで大きく押し寄せている。ブランディングは投資したお金が資産になる。

グローバル企業のブランドを金銭的価値で測定する価値評価ランキング(2019)

ではアップル、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、コカコーラの順であった。

ユーザー自身が意識して行う行動は5%残り95%は無意識に行なっている。

人は見た目が9割』というベストセラーがある。

ブランディングにデザインは重要。

企業や経営者の思い、社会に伝えたいメッセージがブランドの根幹にあることが非常に重要。

MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)。

内面を磨きしかるのちに外見も磨く。ブランディングの正しい順序。

クリエイティブの中にデザインとアートがある。デザインは世界の共通語である。

 

ブランディングは、個人に当てはめて考えてみる価値があると思う。

もっと早く気がつけば良かったかもしれないけれど、今からでもやってみよう。

 

 

 

 

 

『イメージを読む』若桑みどり著

5年前くらいの読んだ若桑みどりさんの渾身の作品『クワトロラガッティ』に心揺すぶられる体験をして名前はしっかりと覚えた。芸術新潮の2021年2月号の本の紹介で橋本麻里さんおすすめの中にこの本があった。これは読まなければ。

 

綺麗な楽しいものが芸術だ。

美術史は、イメージを解釈したり作り出したりするために役立つ。イメージを利用しなければ製品を売ることも共同体をまとめることも、心を引き付けることもできない。

北大の集中講義での、人に語りかけながらの美術史入門を、本にしたもの。

ミケランジェロシスティーナ礼拝堂の天井画。人間は、外観であると同時に複雑な意味の発信体。芸術の偉大さはその伝えている意味の偉大さに由来する。

芸術とは、極めて思想的なこと。

ノアの方舟の場面。沈みゆくテントは、酒樽、お坊さんの着ている衣装の色、オリーブの木から、カソリック教会を表現。(著者の解釈)

 

 

レオナルドダビィンチの『モナリザ

すみれの花は、謙遜を表す。イエスの最大の美徳。

思想を言葉ではなく作品で示す思想家のことを芸術家という。

目に見えるものとして示されている色や形や大きさや広がりや、組み合わせを研究してそれが表現し伝えている意味を探り、人類の文化の歴史のなかに位置づけ自分達の文化にとって意味あるモノとして価値づける。その事によって原始の時代から人類が創造してきた芸術のもつ意味と価値が、人類の歴史や現在未来のなかでしっかり位置づけられる。

レオナルドダビィンチは無神論者。『モナリザ』に隠した謎は、神のいない宇宙観。 背景はマクロコスモス、女性はミクロコスモス。

地球の終末を表現。喪服をきているがお腹が膨らんでいる。

大地と人類の運命を告げている。モナリザの謎はまだ続いている。

レオナルドダヴィンチは魔法つかいであり、悪魔であり、冷血の男。

 

画家は思想を伝えるために描いている。絵を見るという行為は作者の見た目で世界を見るという行為。見る人間もそこに参加する。自分の目でそのイメージから自分の意味を引き出す。

人間のコミュニケーションが成立する。イメージによってもコミュニケーションする。知識ばかりではなく感動もあたえ人格の全部を動かす。芸術の力である。

 

著者のあとがきから。

一人でも多くの人に美術とその歴史のおもしろさとと重要性を理解していただくこと。

学者の存在理由は自分の自分の国のひとびとにその成果を還元し世界の文化と日本の文化を結びつけることにある。