『感染症の日本史』磯田道史著

人類の敵は人類ではなくウイルス。

興味深かったのは、攘夷とか、鎖国とか、感染症予防の面もあった点である。

南北アメリカ大陸で先住民たちが滅亡するのとになったのが感染症。ならば恐らく拒絶することには意味がある。

最初の天皇も伊勢の祭祀も疫病が始まり。

奈良の大仏天然痘対策。

中央集権化により、田舎のヒトやモノが都に集められ疫病を運んだ。

祇園祭も「蘇民将来之子孫也」と書かれたお札をつけた粽(ちまき)が護符となる。

祇園牛頭天王御縁起』蘇民将来牛頭天王=スサノオに宿を貸し栗飯をめぐんで親切にしたことによる。

他にもワクチンがわりに張り紙をしてきた。「吉三さんはおりません」八百屋お七が吉三さんに失恋したまま死んで風邪の神となり吉三さんを殺そうとした事による。

各地にある風習は、こうしたどうにもならない疫病に対する人々の思いが受け継がれている。

長く忘れられていた多くの歴史の証言が、こうして新型コロナウイルスの流行により振り返られることは、重要だと思う。

多くの疫病を克服して今日がある。

こんなに大変だったのだと言うことは体験して見ないとわからないモノだ。

ならば、これからこれを視野に入れて日々過ごしていくのかといえば、今は、渦中にあるので出来ることはしてしっかり備えようとしているが早々に忘れそうな気がする。今思えば、これだけ繰り返し襲ってきた疫病に無頓着に過ごしていた。