『元号戦記 近代日本改元の深層』野口武則著角川新書
足算も出来ないと自分にがっかりするのが西暦と元号です。
元号は一体誰が決めているのだろう。その疑問に答えてくれる本。
なんと言っても注目は、尼子昭彦さん。
2018年5月19日に亡くなっていた。
そして宇野家三代。
宇野哲人さんと諸橋轍次さんは、浩宮、礼宮を決めた。宇野哲人さんの息子の精一さんの教え子尼子明彦さん。
平成を決めたのは山本達郎さん。
GHQは、日本の占領統治に天皇を利用しようとした。日本政府は、天皇制の存続をテコに明治時代以降の創られた新しい伝統を戦後に組み込ませようとした。両者の思惑の妥協点としてできたのが戦後体制。
元号表記は、新聞を通して世に広まった。
平安時代から江戸時代まで菅原家などの公家が元号案を考案して朝廷に提出していた。
宇野家(哲人、精一、茂彦)三代は、40年間一貫して元号に関わり続けた。
令和、英弘、広至の3案から、令和とされた。
「巧言令色鮮し仁」と令の字に対してマイナスイメージがあったが、良いとかビューティフルとかとに言い換えられた。考案者の中西進さんが取り上げられ万葉集ブームになった。
森鴎外が元号に大きな役割があったのは驚きだった。大正はベトナムに同じ元号があり、不調べと言っていた。
我々は、この元号をどう使って行くのか?
時代としてのまとまりを持ち得るのだろうか?
コンピューターの時代になかなかこの元号がびったり来ないとは思う。