『日本のたくみ』白洲正子著

白洲次郎の妻白洲正子(1910-1998)の世界。

本物とは何か?この本で何か学べると思う。

藝術新潮に1年半連載した随筆。縁あって付き合った方たちで構成されている。

正子さんは伯爵樺山家に生まれた。お嫁に来たときついてきた人が家事を担当。

兵庫県の伊丹に次郎と正子のお墓が並んでる。

 

扇はあそび 中村清兄

ここで宗達が出てくる。宗達は、扇屋の出。

気が向かなければ仕事をせず、実生活でも、学問の上でも放浪を続けている人物を私(正子)は見事だと思う。同時に辛いことでもある。辛さの伴わない遊びなんて遊びのうちに入るであろうか。

 

花の命を染める 志村ふくみ

こまやかな色彩。(綺麗なことはわかるがなんか遠ざけるものがあって避けてきたふくみさん。)

私たちはこんなに青々とした草木に囲まれているのに、緑に染まる植物染料はない。藍は緑色の素になる。苅安、ウコン、クチナシ、キハダなどを交ぜると様々な種類の緑になる。

 

土楽さんのやきもの 福森雅武

土楽さんに、糸井重里さんが年の暮れにお餅つきに参加されてたのをほぼ日に書いていた。

伊賀の円柱においしいものを食べさせる家がある、それが土楽。「よってたかって丸くおさまる」人間関係に幸福を見出す生活人。

北陸の能登へ寒鰤を食べに行くお話、立山と白山を遠望する風景は、なんといってもこれ以上のものはないと思う。「この世の極楽」とあらわしている。

 

どの人もなかなか触れることのできない。『日本のたくみ』たちは、魅力的である。白洲正子さんだから話してくれたこともたくさんあるのだろうと思う。