『酒井抱一 俳諧と絵画の織りなす抒情 』井田太郎著(岩波新書) 2020

江戸琳派の画家『酒井抱一(1761-1838)』

播磨国姫路の譜代大名の酒井雅楽頭家別邸で生まれる。姫路の武家の出身と思っていたが、江戸で生まれている。あとを継いだ長男が亡くなったり本人が出家したりした。これは藩側の意向と思わせる句を詠んでいる。

あれこれと名前を使い、またいろんな趣向を凝らした俳諧での活躍も、様々な曲折のうちに琳派への収斂がなされていくようだ。抱一には、遡って根源を見極めようとする傾向がある。光琳、乾山のお墓を修築している。いにしえを偲びそれを自家薬籠中のものとしていく基本的な方法は、俳諧で編み出され絵画にも応用されていった。それこそが抱一ならではの画俳を貫通するアプローチだった。

尾形光琳百回忌を営んだことが、今日の琳派の鮮やかなイメージにつながってる。

琳派尾形光琳へのオマージュとして描かれた、夏秋草図屏風が有名。

尾形光琳風神雷神図の裏にあったが今は別々になっている。

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一方酒井抱一風神雷神図はこちらです。

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抱一は最初美人画を描いていた。後年は、草花図。

風神雷神図屏風は、宗達光琳、抱一を比較してみると面白い。原田マハさんの小説に、京都国立博物館での宗達風神雷神図の展示が描かれている。

 

この書は、俳諧というなかなかにつかみどころの難しいものをたっぷりと紹介してあり、読み重ねることで抱一への理解も深まり、また別の味方も見せてくれる。