『植草甚一の読書誌』植草甚一著

植草甚一さんの本を最初に読んだのは

『雨降りだからミステリーでも勉強しよう』

この本は題名が魅力的だ。

JJおじさんこと植草甚一さん(1908-1979)。なんと言っても魅力は、歳をとっても新しいものを追いかけるエネルギーだ。ちょっと元気がない時とかひとりぼっちのときとか機嫌よく生きていける気がする。

この本(1994晶文社)でまずおすすめされるのは、本屋にメモと鉛筆を持っていく、気の利いた言葉の言い回しや新しい言葉を見つけたときすかさずメモする。それを友人とのおしゃべりでメモした言葉を使おう。

新刊コーナーにある気に入った本のタイトルをメモしで後で話題なったとか、大げさな宣伝のわりにつまらなかったとかわかる。

そこにある基準は全て自分が面白いと思うかどうかということだ。

これはやってみるべき内容だ。

洋書を字引を引いて筋がわかるまで5年かかるか、これをやると人が変わる。

恐ろしくて手は出せない。

欧米文学にのめり込んでいる人なのにアメリカに実際に行かれたの66歳だ随分晩年だった。そしてマークトウェインが好きになったりしている。そしてニューヨークはユダヤ人の都会だと言う。人間的触れ合いがひつこいらしい。それはよくわからない。

自分の好きなことを好きなだけやり続けることで生きることの魅力を、そのご自身の存在で表現してくれている人だ。

文房具やファッションなどもその魅力をさらに上積みしている。こういう人がモテるおじさんだ。

それは本当に幸せなことなのだ。

楽しい一生だったろうと思う。