100分で名著『ディスタンクシオン』ブルデュー岸正彦

結論=私たちがいかに不自由であるかを知って自由になる

ディスタンクシオンとは、区別の意味。

ブルデューは、階級社会への強い怒りが根底にある。

自分の行為がどのくらい、どうやって制限されているかを知れば私たちを社会構造の鎖から解き放ってくれる。

全体的に、聞き慣れない言葉の多様(ハピトゥス、界、文化資本など)でいかにも難解に見えるけれども、書かれていることはスッキリわかりやすい印象だ。だからこそ決定論だと言われているが、構造を理解し、自分の位置を確認することで自由を得られる。

 

私たちが好きで選んでいる趣味は、社会階層と学歴によって傾向づけられている。

自分に与えられているものだけで満足し、規制秩序が定義している通りに自己を規定し、自分のあるべき姿「謙虚」で「慎ましく」「目立たない」存在であることを受け入れる。いかにも客観的必然性を持っているかのような外見をもって人々に押し付けられる。

階級と趣味の不可分性。つまり聴く音楽、毎日の食事、好んで行うスポーツ、身のこなし、態度、歩き方、喋り方は、社会によって決定される。眼とは歴史の産物であり、それは教育によって再生産される。

好きになる音楽、映画、絵画、食べ物、服装に共通の傾向性で分類され、クラスターを形成する。

私たちは自分の人生をより良いものにしようと必死で頑張っている。勉強は投資である。

他者からの評価や承認権威、たとえばスクールカーストを形成する。

禁欲的文化表現は、中流。享楽的文化表現は、上流と分類される。

圧政に苦しみ劣悪な状況にある民衆は何故革命を起こさないのか。表立って表現されることのない苦しみであふれた『世界の悲惨』は、現実を理解するための本。

社会には複数の合理性がある。

幻想に逃げることなく希望を持とうとしたブルデュー