『マルクスガブリエル危機の時代を語る』丸山俊一

マルクスガブリエルは何者なのか?

「新実在主義」思想界の旗手。

今目撃しているのは新自由主義の終焉だ。

背景を知らないとこの本を読んでも全体像がつかめない。

NHKの「欲望の時代の哲学2020」の書籍化。

グローバル化が進んで国家や個人の意味が失われ、人工知能の劇的な発展を受けて「人間」の意味そのものが問われている。スーパー知性が私たちの生活を乗っ取るのではという空想に対しそういうことは起きないと断言している。

対談者のひとりカートアンダーセンは、何をどうしろと私たちに指示する電話機(スマートフォン)をもっているのでAIに私たちの生活を乗っ取られる世界になっている。

短絡的に答えだけ求めてもガブリエルは答えてはくれない。

幸せは絶対に、ここ以外のところにはない、と、わかることでしか幸せにはなれない。なんとわかりやすい言葉。

私が提唱している「新実在論」でも、未来は根本的に開かれている。未来が自動的に既に決まっているという考え方に対して闘わなければならない。人間は、自由行為者であり私たちに与えられた最大の自由の中で自身の立場をついて考える能力がある。これが社会科学そして哲学の研究の対象です。デジタル革命の後にはアナログによる革命が必要になる。世界的な独裁制監視国家から再び自由になれるようにすべき。

私たちは、心を持った動物であり、その人間性に気づき始めよう。今人類が団結できるような新しい理想的ビジョンを考えている。これが哲学者の役割。21世紀のための新たなイデオロギーを作らなければならない。今唯一の代替案は、現代中国なイデオロギー

カントに帰れ。

人間の自己理解のプロセスを関わる全ての関係者が協力して普遍主義的な基盤をつくる目標を失えば、独裁主義に敗北する。

 

さて、『新実存主義』に関しては機会を改めて読んでみようと思う。